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思ったより強い力に怜は抵抗を諦めて理佐に従った。
入ったのは白い革張りのソファが置いてある応接間だ。怜にとってはこのソファは見覚えがなかった。というか、この部屋自体の記憶があまりなかった。この家には部屋が多すぎるのだ。
「これを見て」
ソファに座って説教でもされるのかと思ったら、理佐は部屋の片隅に置かれている大小さまざまな大きさの箱を指さした。
(なんだこれは?)
見かけはプレゼントのようだ。ラッピング自体は凝っているが、どれも色あせていて、紙の端がめくれ上がっているものもある。
「見覚えない?」
近寄ってみるとうっすらと埃を被っているのがわかった。
「ないよ」
「これ、」
理佐が箱の一つを手に取って、片側にテープで貼りつけてあった封筒をはがした。
「開けて、読んでみて」
「俺が?」
「うん」
「いや、でも、なんで俺が……あっ」
言いかけて、怜はあることに思い当たった。
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