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「それに……怜は家族として受け入れるのに、血がつながってないとダメなの? だって家族の始まりって夫婦なんだよ? 夫婦って他人だよね。他人なのに、他人だからこそ、お互いを受け入れて、もっと相手のことを知りたい、一緒にいたいって思って家族になる決意をするんでしょ? 」
言いながらなぜか自分の方が泣きそうになってきて、理佐は俯いた。
「私だって、怜とは始まりはアンダルシアですれ違っただけの、赤の他人だった。そのあとも何度も連絡が途絶えた。でも、だからこそ、家族になりたいと思うようになった。本当に大切な人のそばにずっと一緒にいられるように……」
理佐がそこまで言い切った時、ドサッと音がした。
怜が両手で顔を覆ってソファの上に座り込んでいた。
「怜?」
返事はない。理佐は急に血の気が引くのを感じた。
言いすぎてしまったんだろうか。
こちらに来て何度も話してきたからついマリアの心情に寄り添ってしまったが、怜には怜の感情もある。
マリアだって若かったが、怜はもっと幼かったのだ。
それに私は怜の彼女じゃないか。
怜の気持ちを一番にわかってあげるべきは私のはずなのに、私ったらなんだか彼を責めるような口調にすらなってしまってたかも……
「ごめん、言い過ぎたかもしれない。ごめんなさい」
理佐は怜の傍にそっと座った。
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