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理佐がダイニングルームに戻るとそこにはもう誰もいなかった。
テーブルの上には手つかずのバースデーケーキが用意した時と同じ位置にそのまま置かれていた。
白いクリームでHappy Birthday, Rei! と書かれたチョコレートの板が少しだけ傾いていた。
「理佐ちゃん?」
その声に振り返ると、海先生が入り口に立っていた。
「怜は帰ってしまったのかい?」
「いいえ、自分の部屋にいました」
「……そうか」
本当は自分がプレゼントの置いてあった部屋に連れていったのだけど、説明する気力がわかなかった。
「なんだか……すみません」
食べかけのごちそうだけが残された人気のない部屋に視線を戻して、理佐が俯いた。
海先生は本当はもっと長く出張している予定だった。けれど怜がこちらにいる間に戻ってきたいからと、仕事を調整して早く帰国してくれたのだ。
それなのに。
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