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「家族、か……」
怜は足元に転がっていた別のプレゼントの箱を拾い上げて見つめた。
このいくつものプレゼントはずっとここにこうして置かれたままになっていたのだろうか。
――― 他人なのに、他人だからこそ、お互いを受け入れて、もっと相手のことを知りたい、一緒にいたいって思って家族になる決意をするんでしょ?
――― 私だって、怜とは始まりはアンダルシアですれ違っただけの、赤の他人だった。そのあとも何度も連絡が途絶えた。でも、だからこそ、家族になりたいと思うようになった。本当に大切な人のそばにずっと一緒にいられるように……
他人なのに。他人だからこそ……
「……っ……」
プレゼントを持っていた指を握りしめると、色あせたラッピングペーパーがカサッと小さな音を立てながら剥がれて足元に落ちた。
そして中から手付かずの綺麗なままの箱が顔を出した。
「…………」
怜は少し目を見開いてそれを見つめた。
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