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『ジェイ!? ウィル!? どうしたのっ!? 』
理佐の陰に隠れて見えないからか、マリアが体を乗り出すようにしてプールの方を見ながら立ち上がろうとした。
『あっ』
『危ないっ』
足が悪いせいもあってかよろけそうになったマリアを理佐が慌てて支えた。
そして彼女を座らせるとすぐ振り返った。もしかしてウィルかジェイのどっちかが足でもつったの? 飛び込んで助けるべき?
ババババババババッ
焦ってプールの方を見た理佐の目に映ったのは水面を走る激しい水しぶきだった。
「!!?? 」
『ぎゃあああ!! 』
『上から狙うなんてずるいよー! 』
『なんだよ、そっちはふたりじゃないか』
『くらえええええ!! 』
ズバババババ!
体勢を立て直して水鉄砲を構え直すウィルの視線の先を追って理佐は驚愕した。
なんとプールサイドに立つ怜とプールの中にいるジェイとウィルとで派手な水鉄砲戦が始まっていたのだ。
『いくぞおおおおお!! 』
ズドドドドドド!
『もういっぱーつ!! 』
『いぇえええええい!! 』
ズダダダダダダ!
『わー、待った待った、二人同時ってのはナシ! 』
『ひゃー。レイ兄ちゃんびっしょびしょ! 』
ジェイが嬉しそうに大はしゃぎしている。
『降参、降参! 』
怜が構えていた水鉄砲を下ろした。
『ねぇレイ兄ちゃん、水着着てきてよー。プールに入ってもっとやろうよ~! 』
『水着持ってねーよ! 』
…………。
呆気に取られている理佐の方に、全身びしょ濡れになった30もとっくに過ぎた恋人が歩いてきた。
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