3602人が本棚に入れています
本棚に追加
着替えをかごに入れて風呂場に入りかけた怜は振り返ると、「そういえばさ、この家の風呂、檜風呂なんだぜ。こっちでは珍しいだろ」 と奥を指さした。
「え、ほんと? すごーい」
理佐が覗き込むようにして彼の指さす先を見た。
個人の家にある檜風呂なんて初めて見た。しかも大きい!
「ったく親父の風呂好きときたらなあ。アメリカに来てまでこんなの家に作ってんだから」
「広くて温泉のみたいだね!」
「興味ある? 一緒に入るか?」
えっ!?
「いいですいいです結構です!! 」
「なに今更恥ずかしがってんの。風呂なんてマンションでよく一緒に入って ーーー」
「そ、その話はいいから! 」
後ろの引き戸が少し開いたままなんだよ、人に聞かれたらどうするの!
理佐は後ずさりすると、「風邪ひかないように、よく温まってね! ごゆっくり!! 」 と言ってバスルームを飛び出した。
(まったくもう、怜ったら!)
でもバスルームを出る時、背後で笑い声が聞こえたような気がするのは気のせいだろうか……。
最初のコメントを投稿しよう!