アメリカ編: 何度でも

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着替えをかごに入れて風呂場に入りかけた怜は振り返ると、「そういえばさ、この家の風呂、(ひのき)風呂なんだぜ。こっちでは珍しいだろ」 と奥を指さした。 「え、ほんと? すごーい」 理佐が覗き込むようにして彼の指さす先を見た。 個人の家にある檜風呂なんて初めて見た。しかも大きい! 「ったく親父の風呂好きときたらなあ。アメリカに来てまでこんなの家に作ってんだから」 「広くて温泉のみたいだね!」 「興味ある? 一緒に入るか?」 えっ!? 「いいですいいです結構です!! 」 「なに今更恥ずかしがってんの。風呂なんてマンションでよく一緒に入って ーーー」 「そ、その話はいいから! 」 後ろの引き戸が少し開いたままなんだよ、人に聞かれたらどうするの! 理佐は後ずさりすると、「風邪ひかないように、よく温まってね! ごゆっくり!! 」 と言ってバスルームを飛び出した。 (まったくもう、怜ったら!) でもバスルームを出る時、背後で笑い声が聞こえたような気がするのは気のせいだろうか……。
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