アメリカ編: 何度でも

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*** 「親父かなり太ったんじゃないか? ウエストのあたりすっげーダブダブで歩くとズルズルと落ちてくる」 「うるさいな、人のを借りといて贅沢言うな」 怜がまだ濡れている髪をタオルでガシガシと拭きながらダイニングルームに戻ってきた。灰色のスウェットの上下というお世辞にもお洒落とは言えない恰好だが、それについてはあまり気にしてないようだ。 『やっとレイ兄ちゃん来たー! 続きやろ、続き!』 ジェイがテーブルを叩いて嬉しそうにはしゃいでいるが、その目線はしっかりとまだ手を付けていないケーキのほうを向いている。 マリアが男の子二人に、さっきは怜は急にお腹が痛くなったので部屋を出て行ったと説明したらしい。 『ちょっと揺らすなよ、あぶないだろ!』 そう言うウィルはテーブルの上に乗っかって、落ちてしまった折り紙で作った輪っかの飾りをまた天井からさげようとしているところだった。 『おい、お前じゃ手が届かないだろ。俺がやるから替わって』 怜は椅子を引きずってきて乗っかるとまた落ちかけていた飾りをひょいひょい、と器用につけていった。 『わー、さすがレイ兄ちゃん手際いいー』 ウィルが感心して見ている。 「ああ、そうか……」 理佐の隣に立っていた海先生がつぶやいた。 「理佐ちゃんがなぜ輪っかの飾りをやりたかったのか、今わかったよ」 そして理佐の方を見た。 「昔、誕生パーティのたびに怜が作っていたんだ。ああ、そうだった……」
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