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ふと目を落とすと、紙袋の中にはもう一つ何かが入っていた。
「これは?」
「あ、それはほんとにもういらないから」
慌てて怜が制するのを気にもせずに理佐がその何かを引っ張り出した。
(なんだろうこれ。アヒル……?)
それはクリーム色のパイルのタオル地でできたアヒルの形のぬいぐるみだった。
触り心地はいいが、かなり色あせていて少し薄汚れているところもあり、首のあたりはほとんど中綿が残っていなくて下手するとちぎれそうだ。
「これ、怜のお気に入りだったの? 」
このクタクタぶりは、そうとう使い込まれた感じだと理佐は思った。
「…………まあ、小さい時のものだから」
何だか言いにくそうだ。
「もしかしてお手製? 」
見たところアヒルの形の型紙を2枚縫い合わせてから裏返して中に綿を詰めただけの簡単なものだが、ところどころ縫い線が外れててそこから少し中綿がはみ出したりしている。
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