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「ねえ怜も食べるの協力して」
理佐の目の前の小皿には小さなケーキが6つも乗っかっている。
怜が理佐を案内したレストランはベーカリーもやっていて、焼き立てのパンやケーキがたくさん入り口のそばのガラスケースに展示されていた。
ケーキには数口で食べられそうなミニサイズのものもある。サンプリングといっていくつも試してみたい客のためのものだ。
チョコレートやミルフィーユやイチゴやキッシュゼリーが層になったものや、そのどれもがおいしそうで、理佐はつい6つも頼んでしまったのだ。
「無理。もう入らない」
二人は先ほどこの店の名物と言われるロブスターなどのシーフードが贅沢なほどたっぷり入ったマリナラソースのパスタを平らげたところだった。
「テイクアウトにすればいいだろ。後で部屋で楽しめるし」
「あ、その手があったね!」
理佐がパッと両手を打ち合わせて嬉しそうに言った。
「じゃ小さいし、もっともらおうかな。……いい?」
怜の返事を聞かずに立ち上がると、またショーケースの方に向かって行った。
「マジかよ」
怜は少しのけぞりながらも (まあデザートは別腹だって言うしな) とショーケースを覗きながらパティシェと話に弾んでいる理佐に目を細めた。
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