アメリカ編: 何度でも

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待って待って、いきなりどうしたの。 それになんだかこれデジャブ…… 前にもこんなことがあったような気がする…… 「れっ、はあー」 やっと離してもらえた唇を開いて理佐は大きく息を吸った。 「ど、どしたの?」 「今日は水島さんはいないからここで終われないよ」 あ! そうだ、あの時だ! 日本で、自分のマンションで疲れはてて寝ていた怜に水をあげようとした時のことだ。冷蔵庫の前に立ってたあの時も、こんな風にして彼に捕まってしまったんだ。 「でも、今日はどこにも行かないよ?」 あの時は怜に「行くなよ」って懇願されたけど。 「……わかってる」 「じゃあ、あの、」 「ベッドルームに行っていいか?」 「え、だけど、お風呂とか、お皿もまだ洗ってないし」 「そんなの後でいい」 後でいいって言われても! 「……わかった。ちょっと待って。せめて部屋着に着替えさせて」 そう言って逃げるようにクローゼットのある部屋に来た理佐は、(よく考えたらどうせ脱ぐのに着替える必要ないよね?) と自分の判断に苦笑しながらもとりあえずパジャマを引き出しから出したのだった。
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