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「待って、怜」
理佐の言葉に怜が振り返った。
「我慢してたの? いつから? というか、あとはもう寝るだけだし我慢しなくてもいいよ?」
怜はフッと笑うと、「そこまで理性吹っ飛んでないし」 と応じた。
でも、さっきのあなたは!
理佐の物言いたげな視線に気づいたのか、怜はこちらに戻ってくると手の甲を理佐の頬にそっと当てて軽く微笑んだ。
「……ってあんなことしておいて説得力ないか。急に悪かった」
頬に当てられた手の甲は理佐の襟元までゆっくり滑りおりた。
「わかってほしいんだけど、男にとっては愛情と欲情って表裏一体だから。理佐のことを思うとどうしてもこう、昂ってしまうことがあるというか、……まあ、そういうこと」
照れくさいのか最後はうやむやにしたまま、「じゃお湯入れてくるわ」 とまた背を向けた怜の腕を理佐が掴んた。
「待って、えっと、女だって同じだよ」
「?」
首を傾げる怜に理佐が続けた。
「私だって怜のことを考えると、その、色々と、」
言いながら顔から火が出そうになってきて俯いた理佐の耳元に、怜が唇を近づけて囁くように言った。
「理佐、それはダメだ」
「え?」
「せっかく抑え込んで我慢できてたのに、今ので台無しになった」
「あ……」
「風呂ナシでいい? ていうかもう無理」
言うが早いか怜は理佐の肩を抱くようにしてベッドルームへと連れて行ってしまった。
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