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だけど。
理佐が現れて。
何度も何度も離れようとしたのに、俺のことを諦めずにいてくれて、挙句にはこちらを案じて夢半ばでこちらに来ようとしてくれて。
そしてその芯の強さと一途さで、自分自身ですらどうにもできなかったこの心にあいてた穴をひとつひとつ、埋めていってくれたんだ。
5年前まではその存在すら知らなかったのに。
なんて女なんだろう。
……ほんとになんて人なんだろう。
(理佐……ありがとう)
もう二度と離れたりしない。いや、離れることなんかできない。
ベッドの上に膝まづいたまま、怜は布団の中に手を差し入れて理佐の手をそっと握った。
そして顔を近づけると彼女の唇の端にゆっくりと心を込めたキスを落とした。
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