アメリカ編: 何度でも

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『記念写真だよ。だいたいがもし私が消防車のサイレンの音を聞き分けられなかったら、今頃どうなっていたことか』 『消防車? 何のこと、』 『わかりました、写真ですね、写真撮りましょう! 』 不思議そうに聞き返した理佐の言葉を怜が勢いよく遮った。 再び満足そうにうなづいたニコラスは携帯を構え直すと、『ほらもっと二人近寄って』 と手で指示を出す。 ギギッと音を立てて怜が自分の椅子を理佐の方に近寄せた。 『もっとこう、ほら、らしく!』 『何言ってるんですか』  呆れ声の怜にニコラスが 『消防車~』 というと、『あー、はいはい! 』 と応じながら怜は少し腰を浮かせたかと思うと、理佐の肩に腕を回してぐぃっと自分の方に引き寄せた。 そして自分の肩にもたれる姿勢になった理佐の髪に頬をぴったりと寄せて顔をカメラの方に向けた。 (ええええっ!?) 肌に彼の体温を直接感じてしまう密着ぶりに、真冬なのに汗が噴き出しそうだと理佐は思ったが、怜にがっしりと腕を回されているので動けない。 『お、いいねいいね、ハイ、チーズ!』 そして上機嫌のニコラスに何度も写真を撮られてしまった。
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