アメリカ編: 何度でも

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上機嫌のカルロスからの電話を切ると、ニコラスは 『お前、さっきの……』 とテーブルを紙ナプキンで拭きながら理佐の方を見た。 理佐は完璧に固まったまま、隣の怜をただ見つめている。 『いや、ああでも言わないとまたあいつに色々言われそうだし』 ……ああ、なんだ。それであんなことを突然言ったのか。 『そうなんだ。び、びっくりしちゃった』 言いながら理佐は言葉も気持ちも沈んでいくのが自分でわかった。 『おい、レイ、お前な、』 ニコラスに掌を向けて制すると、怜は俯いてしまった理佐の耳元に口を寄せて日本語で言った。 「本気だから」 「え?」 「月曜日、婚姻届だけでも出しに行くか? ここから領事館は遠くない」 「ええええっ!? 」 「……というくらい、俺は本気」
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