アメリカ編: 何度でも

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「じゃ切るね。あ、待って、堀口さんが、お幸せに! だって」 「堀口さん? 一緒にいるの?」 「うん、栄詳のビルの地下にあるバーで飲んでるとこ」 「日曜に? 堀口さんと知り合いなんだっけ?」 言いながら理佐は大きなあくびをした。 「校了だったのよ。堀口さんはほら、理佐がアメリカ行く時、彼も見送りに来てたじゃない」 ああそうだった。怜が空港で私に指輪をくれた時に立ち会ってくれたんだった、と理佐は眠気でよく回らない頭で思い出した。 「もうこの幸せ者! 帰ったらいろいろと聞かせなさいよ! こちらも積もる話があるし」 「んーわかったー」 「電話、誰から?」 通話を終えてまたまどろみに戻ろうとすると、怜が頭をタオルで拭きながらベッドルームに入ってきた。 「日本のー、出版社に勤める友達」 「眠そうだな」 「誰のせい……」 「日曜だしまだ寝てろよ。俺、ちょっと資料読まなきゃならないんで」 「怜はタフだね……」 笑いながら怜はベッドに近づくとずり落ちていた毛布を理佐の顎近くまで引き上げた。 「ほらちゃんと肩まで毛布に入れて。そんなカッコ見せられると仕事投げ出したくなる」 そしてかがんで理佐の頬にキスを一つ落とすと、指で額にかかる髪を払うように触れる。 「だーめー、むーりー」 「はいはい、我慢します。理佐はまだ寝てろよ」 パタン、とドアが閉まる音がした。
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