番外編 (日本にて): あの人の急襲

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*** 「税抜きで16万円ちょっと!?  た、高くない!?」 デパートの家具売り場で、ロスのマンションで使っていたのとよく似た北欧家具を見つけた。すっきりしたデザインの使い勝手のよさそうなものだ。 あの時は陳さんがレンタル家具として全て手配してくれたので、値段なんて知らなかったのだ (レンタル代は怜が払ってたし)。 うわー。いくらなんでもこれは一人では決められません。明日の土曜日にでも彼を誘ってまた来よう。 遠目に私に声をかけようかどうか迷っていた店員さん (きっと買いそうにない客だなと思ったんだろう!) に会釈してその場を離れようとした途端、携帯が震えた。 怜かな? いやまだ仕事中のはず。 「えええっっっ!?」 メール画面を開いた私は驚きのあまり叫んでしまった。 > 理佐、もうこっちに戻ってきてるのよね? 東京? 明日の夜公演のいいチケットを余分に持ってるって美穂子さんがいうのよ。あなたにも久しぶりに会えそうだし、急だけど東京に行くことにしたわ。で相談なんだけど、日本に戻ってきたばかりなんだからまだたぶんホテル住まいよね? 泊めてくれない? 母は根っからのミーハー気質な人だ。広島からわざわざ東京まで来るってことは熱心に応援している役者が出るお芝居か宝塚だろう。美穂子さんはかなりのヅカファンだから多分後者だな……。 ……ではなくて! 泊めてくれって!? 泊めてくれってどこによ!?
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