番外編 (日本にて): あの人の急襲

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*** 「え? 帝国ホテル!? 」 立派な玄関口の前に着くと、ホテルのスタッフがすぐに飛んで来て車のドアを開けてくれた。そして車から降りた川野さんと共に荷物もあっという間にトランクからおろされた。 「ちょ、ちょっと待って、ホテル、ここにしてくれたの?」 「うん、宝塚劇場も真ん前だし便がいいでしょ」 ……と、怜が言ったのだけど。 新橋の安宿に母が泊ると言ったら、怜が 「とんでもない、うちにお泊めできないのは申し訳ないから宿はこちらで用意させてくださいと伝えてくれ」 と言い張った。「俺が手配するから」 と。 「こんなん、お父さんに怒られそうだわ……」 「久しぶりに娘と会うんだし、これくらいのぜいたくはいいんじゃない? 」 ……と、これも怜が言ったのだ。 「……そうねえ。彼が手配してくれたのをむげにもできないわねえ」 それに確かに劇場の真ん前だし! となんだか嬉しそうだ。
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