番外編 (日本にて): あの人の急襲

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「栄詳出版、理佐がいるうちに一度訪ねてみたかったわ。私、元国語教師なんです。栄詳さんから出している本もうちには結構あるんですよ」 話しているうちに母もだんだんと落ち着いてきたようだ。 「そうなんですか。ありがとうございます。あ、そうだ、そういえば今日、あの人が社に来てる。水島さん」 怜が私の方を向いて言った。 「秘書の?」 「違う、奥さんの方」 「水島副編?」 「そう。いまはもう編集長だけどね。なんか急ぎの校了とか言ってた。理佐の話が出て、元気にしているって言ったら懐かしがってたよ」 「そうなんだ。会いたいなあ」 「このあとちょっと寄ってみるか? お母様もよろしかったらどうぞ。週末なんであまり人はいませんが」 栄詳はここからなら地下鉄でも1駅だ。 ああ、でも怜がどういう人か全く説明しないまま母をいきなり栄詳に連れて行くわけにはーーー 「まあそれはまたの機会、」 「ぜひ行ってみたいです! 」 え、お母さん!
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