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エレベーターはあっという間に10階についてしまい、チン、とドアが開いた。
「本郷さん、お久しぶりです! 」
嬉しそうな声に目を上げると水島秘書室長が直立して待ち構えていた。さっきの電話で怜は水島さんにも連絡したんだろうか。
「こんにちは。お忙しいのに突然お邪魔して本当にすみません」
「いえいえ。ようこそ来てくださいました。こちらにご案内しますね。あ、後で家内もこっちに来ますから」
「校了で忙しいんじゃないんですか?」
「いや、本郷さんが来るって言ったら会う会う! って嬉しそうでしたよ」
「この方は私の元上司の旦那様なの」
前を行く水島さんの背中を見つめながら母に小声で説明すると、「そうなの。それにしてもすごいわね栄詳って。廊下、絨毯敷きなのね! 」
いやそれはここが重役フロアだからです……。
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