番外編 (日本にて): あの人の急襲

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水島室長が案内してくれた Interactive Room (インタラクティブ・ルーム) の前には背の高いガラスケースがあり、いくつもの本が綺麗に展示してあった。 「まあ、この本も、あら、このベストセラーも栄詳さんとこで出してるの? あら、これは私も読んだわ! あ、これは読んでみたかった小説だわ~」 母がガラスケースに貼りつくようにして興奮気味に話している。さすが本に詳しいのは元国語教師の本領発揮なのかもしれないが…… 「ね、時間もないことだし中に入ろ? 」 「あ、そうね」 母を促し部屋(ルーム)の中に一歩入って驚いた。ここ、ほんとに栄詳の部屋? 壁際にはいくつもの巨大スクリーンが並んでいてアニメやらCMやらが流れている。どうやらこれはテレビ化された栄詳の作品や、関連CMのようだ。音は消されているが、なんだか大手電気屋さんの大型テレビ売り場にでも入ったような気分だ。 一方目の前には白い長テーブルと椅子が置かれているだけ。本はもちろん紙類が一切置いてない。なんだろう、この部屋は。これからここで会議するわけでもないし……? そう思っていたら、「ハーイ! 」 と陽気な声で青年が入ってきた。日本人じゃない。この栗色の巻き毛の人、何だか見覚えがあるような気が……
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