番外編 (日本にて): あの人の急襲

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「なるほどねえ。遊び感覚でもまずは読んでみようという気にならせるのがいいですね」 元の職業柄か、母が会話にノッてきた。 「他にもいろいろな事情で学校に行くことが困難な子供たちが、スクリーン上で先生と交流しながら学習できるようなプログラムとか、いろいろ考えているんですよ。ウチで出してる学習教材にはスクリーンで見せたほうが興味を引きそうなものもけっこうありますからね」 「ああ、確かに。科学マンガシリーズとか」 ビジュアルがすごくきれいで内容も子供向けなのに手を抜いてなくて私の好きなシリーズだ。 「そうそう。マンガのキャラを動かして説明させるとかで、飽きっぽい子の関心を引き付けられるのではないかと」 「それは面白そうですね。私が教えていたころにも学校という場に馴染めないお子さんがいましたからね……」 「当時そういうのがあったら役に立ったかもね」 見たことはない母の教壇に立つ姿を想像しながら、先生の方を向いた。 「いろいろと意義のあることをされているんですね」 「いやあ」 秀先生がはにかむように笑った。
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