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「だから僕がここに来た当初は、自分は儲かるとは言い難い公教育が専門なのに一体どう貢献できるんだろうと不安だったんです。でも振り返ってみれば今はむしろやりたいことをやらせてもらってるんです」
「教育がご専門だったって、学校の先生でいらしたんですか?」
母が興味深そうに聞いた。
「ええ。T大の教育学部で教えています」
「まあ! T大ですか! 」
お母さん、声が大きいってば。
「でも、その、こうしてデジタル部門に力を入れてるってことは、栄詳は出版社としてこれからは紙媒体としての本とか雑誌より、そちらを重視していくってことなんですか? 」
怜の周辺事情に会話が及んでいきそうなので焦って話題を変えようとした。
「いや、必ずしもそういうことじゃないんですよ」
秀先生が微笑んだ。
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