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「今からそっち行っていい?」
「今から? 」
時計を見るともう夜の9時半を過ぎていた。
「明日の朝ごはんでもいいけど、こういうことは早く話したい。お母さん、夜型だから大丈夫でしょ? 」
「わかったわ」
「車で送るよ」
支度を始めた私に怜も立ち上がった。
「ううん、考えながら行きたいので地下鉄で行く」
怜のマンションと仕事場と母のホテルは全て同じ路線だ。
「でももう10時近いのに」
怜が不安気な顔をした。
「ここは日本だから大丈夫。帰りは迎えに来て? 」
「もちろん。お母さんが特に何を不安に思っているのかしっかりと聞いてきてくれ」
「わかった」
玄関で靴を履いて出ようとしたとき、怜が土間に降りてきてギュッとと私をコートの上から抱きしめた。
「あまり心配するなよ。明日、安心してもらえるよう俺からも話すから」
「……うん」
そして私の肩をトントンと叩いて送り出してくれた。
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