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ガチャ、と玄関のドアを開けると怜がすっ飛んできた。
「理佐っ!? 迎えに行くって言っただろ!? もうそろそろかなってメッセージしても返事ないから、携帯にも電話したんだけど」
あー。ずっと考え事しながら歩いてたんで、バッグの中に放り込んでいた携帯を見てなかった。
見ると5回も怜から電話が入っている。
「……ごめんね」
「どうした? お母さんとの話、うまくいかなかったのか? 」
俯いた私に怜の声のトーンが優しくなった。
「そうじゃないんだけど……」
「付き合ってきた時間が短すぎるって? 」
「ううん、それについてはたぶん納得してくれた。スペインで出会ってから今までの事、大事なことは話したから」
「そうか」
何か飲むか? と怜がティーポットとカップを持ってきてソファのほうに私を促した。
「ありがとう」
「もう遅いからカフェインの入ってないヤツな」
怜が差し出してくれた箱からカモミールティーのティーバッグを取り出した。
「で? 」
お湯を注いだカップを私の方に寄せながら怜が私を見つめる。
「……怜はさ、」
「ん? 」
「自分はモテると思う? 」
「へ? はぁ? 」
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