番外編 (日本にて): あの人の急襲

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「……何の話だ? 」 「だからその、言い寄られたりとか告白されたりとか、けっこうある? 」 怜は眉を顰めるようにして少し考えたが、「うーん、どうだろ。……あ、あったな。アートディーラーだったころ、クライアントの金持ちの奥さんに迫られた。あれには参った」 と肩をすくめた。 「奥さんって、既婚者に? 」 「そう」 「それいつの話? 」 「えーっと、もう10年くらい前? 俺20代半ばでその人確かもう40超えてたのに。勘弁してくださいって感じだった」 と言って笑った。 「それでどうしたの? 」 「旦那さんにバレる前にニコラスに担当を代わってもらったよ」 「そうなんだ……。日本では? 」 「日本? 」 「視線とか感じない? 見られてるなあとか」 「ああ、時々ある」 やっぱり気づいているんだ。 「なんか見られてる感じがするんでで、そっち見るとサッと目をそらされたりとか」 「相手は若い女の子? 」 「どうだったかなあ。やっぱあれかな、俺、海外長かったからさ。日本で育った人から見ると仕草とかどっか変なとこあるんじゃないか? 理佐、どう思う? 」 いや、そういうことではないと思います……。
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