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「…………」
「理佐? 」
「怜みたいに、若くてカッコよくてしかも次期社長なんて人は誘惑も多かったんじゃないか、って」
「はあ!? 」
「彼みたいな素敵な人を4年も一人にして不安にならなかったのか、って」
「ええっ?」
「怜は誘惑に負けるような人じゃないって言ったら、ほとんど一緒にいなかったのにどうして確信が持てるの、って」
「おい、ちょっと待っ」
「それで帰り道、ずっと考えてた……。ロスにいた時、私がメッセージ送っても返事が来たのが数日後だったこともあったよね? 最後に訪ねて来てくれた時は1日で帰っちゃったし。もしかしてあの時は、本当は早く日本に帰って会いたい人が―――」
「ストーップ! なぜそんな発想になっているんだ!? 」
怜が重ねていた手を強く握りしめてきた。
「痛っ 」
「ごめん、というか、確かに連絡を頻繁に取れなかったのは俺が悪かった。でもそれは絶対にそういう理由じゃないんだ。むしろ……」
「すごく忙しかったから、って言いたいんでしょう? 」
「それもあるけどそれだけじゃなくて……」
「でもメッセージ書くなんて数分でできるし」
「だからそれは悪かったって。というか、理佐のお母さん、今日会ったあの時間だけで俺が誠実じゃない人間だという印象を持ってしまったのか? なんで? 俺の対応のどこがまずかったんだろう」
記憶を辿ろうとしているのか、怜が考え込んだ。
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