番外編 (日本にて): あの人の急襲

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「それにモテるっていうんなら理佐だってモテてたじゃないか」 私が? 「教会で理佐の肩を抱いてた彼。名前なんて言ったっけ、ジョセフ? 」 「え、違うよ。彼はゲイだって言ったでしょう? 」 「彼がそう言ったのか?」 「だって彼が長くお付き合いしてた人、ほらあの時プロポーズした人ね、男性だったでしょう」 「男も女も両方好きになれる人もいるぞ」 「どういう意味? 」 「わかってないなら別にいい」 わかってないって、どういうこと? 確かにジョセフに付き合わないかと言われたことはあるけど、あれは後から思えばきっとママを安心させるためで……。 でも、そう言えば怜はどうなんだろう。 「怜は気にならなかったの? 」 「何が」 「この4年間、私から離れていて、その……」 「理佐に手を出すヤツがいないかとかそういうこと? そのためにも指輪を渡してあったんだろ。はめてくれてないけど」 「あーごめん、あんな高価なもの普段は怖くてはめられない」 なんか狙われそうだし、落としたら大変だし! 「そんなことだろうと思ったよ」 怜が私の髪を漉くように指を差し入れてきた。くすぐったい。 「アメリカに理佐を送り出した時、新しい場所で刺激もあるだろうし出会いもあるだろうし、って覚悟したつもりだったんだけど」 フッとため息のような音が聞こえた。 「そんなの全然できてなかったな」 できてなかったってどういう意味? 隣を見ると、こちらを見て笑みを浮かべている怜と目が合った。 「でも俺にとっては、今理佐がこうしてそばにいてくれることが全てだから」 そして彼は考え込むような表情をすると言った。 「明日、理佐のお母さんと話がしたい」
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