番外編 (日本にて): あの人の急襲

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「あの、お時間は大丈夫なんですか? 」 私の質問に彼が噴き出した。 「そうですよねえ。こんなところで店長自ら油を売ってていいのかって思いますよね。いや、実は今日は僕は休みの日なんです」 ええっ!? 驚いた私たちに、彼が笑顔を向ける。 「でも個人的な恩人でもある永嶺君のお知り合いの方が来店すると聞いて、これはぜひ直接ご挨拶をしなければと思いましてね」 「お休みの日だったんですか? それはわざわざすみません……」 「いえいえ、とんでもない」 西方さんはテーブル席の空いている椅子の一つをこちらに引っぱってきて座った。ほんとにここで長話をしていくつもりのようだ。 「彼が大切な人が来るからよろしくっていうんですから。これは来ないわけにはいきませんよ。 そしてカラになった母のグラスにワインを注ぐと微笑んだ。 「パリにいた時、全く女性を寄せ付けなかったあの永嶺君がね」
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