番外編 (日本にて): あの人の急襲

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しかしなあ、このありさま。恋をし慣れないヤツがマジ恋するとこうなるのか。 「じゃあアレだ、電話しろよ、電話。声を聞けば元気が出るだろ」 「それもダメ。声を聞いたらそれはそれでもっと会いたくなる。それに時差の関係で電話できる時間がどうしてもどっちかが仕事中になってしまうから。気持ち持ってかれたら仕事に集中できないだろ」 「お前、その年で重役だもんなあ。あのデカい出版社の」 「今かなり複雑な改革を多方面でやってるから、スキを見せるわけにはいかないんだよ。相手の多くは俺より20も30も年上なんだぜ。だからできるだけ理佐のことは考えないようにしてる」 「メールもしてないのか? 」 「してるけど、それも程ほどにしないと気持ちの切り替えが難しくなってくる」 こいつ仕事はあれだけキレるのに、こっち方面のこの不器用さはなんなんだ?  
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