番外編 (日本にて): あの人の急襲

75/110

3596人が本棚に入れています
本棚に追加
/1588ページ
====== ===== === 「結局そのまま我が家に泊めたんですよ。一人の部屋に帰りたくないからホテルにでも泊まるって言うんで、そんならウチに来いよって言ったんです。ウチなら子供もいて賑やかだから気も紛れるだろうって。そんなことが何回かありましたね」 …………。 知らなかった。 怜の見た物に対する記憶の良さ、ビジュアルメモリーについては彼自身からも、ニコラスさんからも聞いたことがあった。 でもそれは彼が一度見たアート作品を細かい所まで覚えていられるので、クライアント先で売り込むのに役に立つとかそういうものだと思っていた。 私が送ったメールになかなか既読がつかなかったのも、彼からの返信がよく遅れたことも、電話も頻繁にはくれなかったことも…… ――― 確かに連絡を頻繁に取れなかったのは俺が悪かった。でもそれは絶対にそういう理由じゃないんだ。むしろ…… あの後、怜はなんと言おうとしたんだろう。 怜のあの能力がそんな風に彼を苦しめていただなんて。 そしてそんな風に苦しむほど、怜は私のことを……
/1588ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3596人が本棚に入れています
本棚に追加