3596人が本棚に入れています
本棚に追加
/1588ページ
「そしたら、」
続く言葉を息を呑んで待つ。
「すごい目で睨まれました。”俺は一度コミットした人を裏切るようなことはしない。どうしてかはお前にはわかるだろ! ” って」
「それはどういう……」
母が不思議そうな顔をした。
「そのことに関しては直接永嶺君から聞かれたほうがよいかなと思います。いずれにしろ、あの時は本気で怒られました。僕の目には、彼はホントに理佐さん一筋でしたよ」
チン、と誰かの携帯が鳴った。西方さんが自分の携帯に目を落とすと、「そうだ、永嶺君と僕の小学校時代のアルバムを見つけたんです。ご覧になりませんか? 」と誘ってきた。
「ああ、それは見たいです! 」
即答してしまった。
「結構重いんで、奥なんですが一緒に取りに来ていただけませんか。お母様はこちらでお待ちいただいても構いませんか? 」
母は肩をすくめると 「ええ、そうさせていただくわ。なんかアテられちゃったしねえ」 と笑っている。
いや、でも、私だって怜が一人の時そんなことになってるとは知らなかったんだから!
母はワイングラスを手に取ると 「私はこの美味しい前菜とワインを楽しんでいるから、ゆっくりとどうぞ」 と私たちを促した。
最初のコメントを投稿しよう!