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「それはもしかして私の兄のせいですね? 」
今度は怜の返事がない。
「そのあたりは、実は兄からすでに聞いています。アメリカの会社に騙されそうになっていたと」
「……ご存知でしたか。当時、佐久間専務からすでにわが社の重要な情報が相手方にかなり漏れてしまっていて、これ以上のダメージを避けるために専務には現職を離れてもらうしかありませんでした。でも専務は社内ではとても人望のある方だったので、彼をクビにしたことで僕は多くの社員を敵に回すことになってしまいました」
「…………」
「理佐さんは佐久間専務が可愛がられていた姪御さんであり、優秀な編集者でした。専務をクビにするということは、理佐さんのことも諦めなければならないということでした」
「……そんな……!」
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