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と、その時、母がブース席から外に身を乗り出すのが目に入った。母はこちら向きの席に座っていたのだ。
「ですって、理佐。参ったわねー、永嶺さんはほんとにあなたにぞっこんなのね。まあなんというか、安心したわ」
「えぇっ!? 」
ガタンという音と共に怜がブース席から飛び出してきて後ろを振り返った。
「理佐……敬之……君らいつからそこにいたんだ!? 」
「ごめーん、盗み聞きするつもりじゃなかったんだけど、なんか超マジな話してるから席に戻りにくくてさ」
手をひらひらして言う西方さんを見て、怜が絶句している。
「ごめんなさい。あの、でも、すごく嬉しかったよ、怜が言ってくれたこと」
私も両手を合わせて謝った。
「…………まったくもう、いるならいると言ってくれよ」
怜は観念した様子でそう言った。
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