番外編 (日本にて): あの人の急襲

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長話をしたせいで食事はあまりゆっくりできなかったが、それでもアルバムの写真を見ながら 「どの子も可愛いね~」「こいつ今何してるんだろ」 などと皆で盛り上がりながらランチを終えた。 野菜をふんだんに使った西方さんのお料理は、クリームやバターを多用する伝統的なフレンチとは少し異なるがとても美味しかった。「胃にもたれなくて私の世代にはありがたいわー」 と母も大満足している。 「永嶺さん、戻ってこないわね」 「ちょっと様子見てくるね」 トイレに立った怜がなかなか戻ってこないので、席を立って先ほどアルバムを探しに西方さんと通った廊下へと向かった。お手洗いはその途中にある。 「……よかったじゃないか、納得してもらえたようで」 あれ? この声は西方さん? トイレの反対側にもドアがあって半開きになっている。ドアの奥は厨房につながっているのか事務所なのか、いずれにしてもお店の人しか入れないスペースのようだ。 「お前が一人で日本にいる間、本郷さんに会えなくて辛い~ってここで泣いてたよって言っておいたよ」 「なっ、泣いてなんかいないだろ! 」 この声は怜……!? 「よく言うよ、一人の家に帰りたくないーとか酔って嘆いてたくせに」 「おい、俺が頼んだのは日本にいる間、俺が他の女性とどうこうなんてことは一切なかったってお前からも言ってくれってことだぞ。いったい理佐たちに何を言ったんだ!? 」 「まあだからそういうことだよ。お前がいかに本郷さん一筋だったか強調しておいたんだよ」
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