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ランチの後、怜は再び社用車を呼ぶと母のホテルに寄り、預けてあった荷物をトランクに入れてもらうと皆で羽田空港に向かった。
チェックインも済ませあとは搭乗ゲートに向かうだけとなった母は怜の前に立った。
「ホテルからお食事から移動まで、本当に何から何までお世話になりました。次はぜひ広島においしいものを食べに来てください」
「ありがとうございます。楽しみにしています」
一礼する怜に母も頭を下げると、今度は私の方を向いた。
「理佐」
「なに?」
「よかったわね」
「納得してくれた? 」
「納得もなにも、最初から言ってるようにあなたの人生はあなたが舵を取るものよ。でもその人生を共に歩む人は、やはり何があってもお互いを一番だと思って大切にしあえる相手でないとね」
「うん」
「そういう方に出会えたと思っていいみたいね? 」
「うん……! 」
ここまで来るのに、ホントに何年も待ったし、いろいろあったし、大変な時もあったけど。
「じゃ、そろそろ行きますね」
「お気をつけて」
「お母さん、無事家に着いたらメールして。あと今度東京に来るときは、今回みたいにいきなりじゃなくて、もう少し前もって教えてよ」
「はいはい。そっちも広島に来た時に食べたいものを考えといてね」
笑顔で手を振る母の姿が見えなくなるまで、私たちも手を振った。
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