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「ほらまたそんな顔しないの。それに理佐が俺に何もしなかっただなんてそんなことはない。とても大切なことをしてくれたんだ。なんだかわかるか?」
わからない……ゆっくりと首を横に振る。
「理佐のおかげで俺は子供のころからずっと抱えていたトラウマを過去のことにできたんだよ」
……もしかしてそれはお母さんの事?
「実の母親に対しても、育ての母親に対しても、今の俺は8歳の時から考えてみて今が一番穏やかな気持ちでいる。ずっと見て見ないふりをしていた辛かった記憶が上書きされたんだ。それは理佐のおかげだ」
…………。
「俺に、家族をとり戻してくれてありがとう」
ちゅ、と瞼の上にキスが落とされた。
「そして今度は俺たちが家族になろうな」
ちゅ、と今度は唇の上に。
「おいおい、なんでそこで泣くの」
「だって……ううぅ」
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