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「ね、あの、まだ夕方、」
母を空港で見送ってすぐ家に戻ってきたからまだ夕刻だ。
「だからなに?」
「時間的に早くない? 」
今までと違い、私たちはもう別々の場所へ帰る必要もない。
「夜まで待てと? 」
「えーと、夕飯もまだだし、お風呂もまだだし」
「そんなに待ってたら我慢できなくて暴発するかも」
ええっ!?
「この数日、理佐もそれどころじゃなかっただろ」
確かにそうかも。帰国してまだ1週間たってないので、旅の支度や引っ越しの疲れに時差、おまけに母の急襲まであって夜は爆睡してた……
「ごめんなさい、夜、その、我慢してた? 」
私の隣で悶々とさせていたんだろうか。
「まあ理佐も大変だったし俺も仕事で忙しかったから、寝てるのを襲うところまではいかなかった」
真面目な顔してそんなこと言うから笑いそうになる。
「でもこれで一件落着したようだし、さすがにもう限界。歩くのも辛いレベル」
え? と目を見張った私の手を取り自分の下方へと導くと、わかる? と怜が表情で聞いてきた。
うわ、ホントに我慢してるんだ。
「というわけで、まだこんな時間だけどいいか? 」
「……うん」
そんな熱の籠った眼差しで訴えられたら断れません……
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