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そういえば私も、労使交渉の場以外での怜を見たのは初めてだった。栄詳のリーダーたる風格があってカッコよかったな。ああいう怜を見れたのは母が突然やってきて会社を見たいって言ってくれたおかげかも。
「なにニヤニヤしてんだよ」
「あ、別に」
「もしかしてさっきの気持ちよさを思いだしてたとか? 」
違う、ソッチ方面じゃありません!
「じゃもう少しする? 」
「いえいえいえいえ、あなたは明日からまたハードな仕事だから体力温存! 」
「温存って」 と笑いながらも怜が上半身を起こした。
「ま、とりあえず飯食いに行くか」
え? もうこんな時間!?
怜が差し出した手に捕まって私も起き上がる。羽織っていた毛布がさらりと滑り落ちるとひんやり……うわっ、裸だった!
「ちょっと私のシャツどこっ!? 」
怜がさっき剥がしてどこ放り投げた!?
「はいはい」
自分は手早く着替えると、ベッドのまわりに散らばっている私の服を怜がかき集めてきてくれた。
「ああ~、セーター無理やり脱がしたから首のとこ伸びちゃってる」
「わりー、そんなこと考えてる余裕なかった」
もうこれからは脱がしやすい服だけを着よう、……って、あれ?
なに考えてんだ私、と赤くなっていると怜が 「さあお疲れさん会やるぞー、支度して」 と言いながらどこに投げ捨てていたのか私のベルトを探し出してきて渡してくれた。
「もうー」
「セーターなら新しいのを今度買いに行こうぜ」
そうじゃなくて自分の発想に呆れてただけです。
「でもどうせなら前あきのとか、もっと脱がしやすいのがいいな……イテっ」
耳元で変なことを言う恋人のお尻をペンしました。自分のことは棚に上げて。
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