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水島さんに、休みを取ることについてそれとなくあたりをいれてみる。
「年末に10日間の休み? 」
「はい、いろいろ動いてるときに申し訳ないんですが、どうしても見ておきたいものがありまして。例の単行本にも役立つと思いますし」
「……見ておきたいものって、彼氏? 」
「はあっ!? 」
思わぬ彼女のカンのよさに、手に持っていたレイアウト案を落としそうになった。
「違うの? 彼氏とゆっくり癒しの10日間温泉旅行へ、とかいうんじゃないの? 」
「ちちち違いますって! 」
ふふ、と水島さんは微笑むと、「そうなの? せっかく休むならそういう目的にしなさいよ」とダメ押ししてきた。
「仕事人間の水島さんに言われたくありません……」
「そうねえ」 笑いながら、「じゃあ明後日校了のは最優先に見てあげるから、できたらすぐ持ってきなさいよ」
そう言いながら去っていってしまった。
なんだかんだ言っても、ちゃんと押さえるところは押さえてくれる人なんだ。
よし、がんばろう。
怜、待っててよ。必ず会いに行くから。
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