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家に帰り、俺はまた天井に向かって大きなため息を吐いた。
俺が時間を巻き戻してしまったせいで、本来怪我をすることのなかった子を巻き込んでしまった。
女の子も大した怪我ではなかったとはいえ、病院に駆けつけた母親に泣きながら抱きついた光景を思い出すと、胸が痛む。
あの子にも、何か楽しみにしていたことがあったかもしれない。
怪我をした部分が消えない傷となって残るかもしれない。
今までだって、もしかしたら俺のせいで、周りの人たちの日々を変えてしまっていたのかも……。
そんなことも考えず、自分のことしか考えていなかった俺は、なんてバカだったんだ。
机の上に置いてある時計を手に取った。
そして――
「怖い思いさせて、ごめん」
ゆっくりとボタンを回した。
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