MENU2:コトリライス

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「おい馬鹿、危ねぇだろ」 「虎太郎にはぜったいに、幸せを運んであげない」 「怒るなよ。また腹減るぞ」 「減った。何かつくって」 「……ったく。じゃどっか停まるぞ」 「待てない」 そっぽを向いて拗ねることりの頭を、虎太郎は後ろからがしがしと撫でた。 「何食いたいんだよ」 「コトリライス」 「……仕方ねぇなぁ」 虎太郎は、声を上げて笑う。 ことりは、そんな笑い声聞こえないとばかりに何も言わず 密かに、手に持った小鳥の旗を握りしめた。 「本当に青い鳥だったら良かったのに」 まるで独り言のように零したひと言は 音になるかならないかのギリギリの音量で、エンジン音に吸い込まれる。 「――厄介ごとしか運んでこなくても、我慢してやるよ」 そして、虎太郎の返事もまた、吸い込まれていった。 MENU2 おわり
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