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それは、高校からの下校途中、ふらっと入ったコンビニで、衣美はお菓子の棚にあったとある商品に釘付けになった。
反射的に、それを手に取る。
「衣美、どうしたの?……チョコ?」
友達の利恵が、衣美の手元を覗き込んだ。
衣美が必死で見つめるお菓子の外装には確かにチョコと書かれているが、気になったのはそこではない。
【糖類ゼロ】
そのチョコレートには、そう書かれていたのだ。
「カロリーオフって書いてんじゃん。衣美、そんなに痩せてんのにまさかダイエットしてんの?」
「え、いや……、えーと、……うん、まあ」
違う高校に通う双子の妹がいることは話していたけれど、
病気のことは話したことがなく、衣美はつい曖昧に誤魔化す。
「マジ?アンタいつか消えてなくなっちゃうよ?」
利恵は冗談を言いながら大声で笑い、棚からお菓子をひとつ手に取るとレジへ向かった。
衣美はそれを目で追うと、改めて外装を眺める。
「糖類、ゼロって……」
頭に浮かんでいるのはもちろん、麻美のことだ。
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