MENU1:砂糖を憎む姉、砂糖を夢見る妹。

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 衣美は元々確かに細身だったけれど、ここ1年で更に痩せた。 自分でも気付かないくらいにゆっくりと。  理由は明確だった。 大切な妹を苦しめる“糖”というものへの嫌悪感が徐々に大きくなったからだと、自覚もしている。  それに、同じ日に生まれてきたにも関わらず、 自分だけ健康に生きていられることに、罪悪感も感じていた。  やがてだんだん米を食べなくなり、間食も減っていく。 そうしていれば、何の罪悪感も無く麻美と笑って居られた。 しかし逆だと、自分でも制御できないくらい気持ちが不安定になってしまう。  そんな時に見つけた、糖類ゼロのチョコレート。 ――これなら、麻美も食べられるんじゃないかと、 そう考えた事がすべての始まりだった。
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