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ほぼ勢いで3枚手に取り、会計を終えると急いでコンビニを出る。
「衣美!どこ行くの!?」
「ごめん!今日は帰る!」
電車に乗って、恐る恐る袋の中を覗きこみ、ふと思い出した。
つい一ヶ月前に終えた、二人の誕生日のことを。
今年の誕生日には、ケーキは並ばなかった。
当然だけれど、砂糖をたくさん使ったスポンジケーキも生クリームも、麻美は食べられない。
かといって砂糖を極端に控えてしまえば、当然味気ないものになってしまう。
娘の糖尿病という病気と向き合うことになってまだ1年に満たない両親は、
無理にケーキをどうにかすることを諦め、その分プレゼントを奮発してくれた。
二人ともそれで十分だった。――けれど。
このチョコレートを使ってケーキを作れば、麻美も食べられる。
ふと芽生えたそんな思いに気持ちが止められなくなり、
衣美は電車を降りると、全速力でスーパーへ行って他の材料を揃えた。
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