MENU1:砂糖を憎む姉、砂糖を夢見る妹。

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 卵、牛乳。どちらも麻美が普段口にしているものだ。 そしてゼラチンに、生クリーム。 きちんと成分表をチェックしてカゴに入れ、それから製菓用品売り場で、誕生日用プレートと、ろうそく。 あっという間に買い物を終えると、衣美は再び走って自宅へ向かう。  衣美は、チョコレートムースを作ろうと思っていた。 糖類ゼロのチョコレートを使って作れば、麻美にだって食べられるはずなのだ。 砂糖は入れられなくても、チョコレートの甘みがあればきっとなんとかなるだろう。 自宅には、まだ誰も帰って来ていなかった。衣美にとっては好都合で、早速手を洗い準備を始める。 チョコレートムースを作るのは初めてではなかったし、レシピ自体は簡単だった。 レシピ本によくあるように、ビスケットを敷いたりスポンジを挟んだりなんて出来ないけれど、 それでも麻美はきっと喜んでくれるはずだ。 なんせ彼女はもう1年もマトモにケーキを食べていないのだから。
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