MENU1:砂糖を憎む姉、砂糖を夢見る妹。

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衣美は急いで材料を混ぜると、1年前戸棚の奥の方に仕舞い込んだ輪っか状のゼリー型を引っ張り出し、 スライスアーモンドを敷いた上にムース生地を流し込む。 そして、冷蔵庫のチルドに強引にスペースを作り、それを押し込んだ。 ――後は、冷やすだけ……! そう思うと気持ちも高揚し、ソワソワしてくる。 麻美の喜ぶ顔が見たい。 これは、普段頑張っている麻美への、ご褒美になるだろうか。 そして、2時間後。 ベストと言えるタイミングで、玄関が開いた。 「ただいまぁ」 「おかえり!!」 「どうしたの?元気だねぇ」 「麻美!誕生日、もっかいやろう!!」 「え?」  衣美の手には、誕生日プレートとろうそくが飾られたチョコレートムース。 それを見て、目を見開く麻美。 麻美の驚き様は、想像をはるかに超えていた。
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