MENU3:なまえのない薬

50/52
114人が本棚に入れています
本棚に追加
/168ページ
 勢次の心の中にはもう、モヤモヤした感情は無い。 焦りもイライラも、迷いも。 深い睡眠も、取れるようになった。まるで本来の自分を取り戻したように。 「笑うことも、薬か」 「うん?」  太一の笑顔を見ながら、勢次は改めて思った。  治療されたのは、自分だったと。 「さ。……戻るぞ。頑張ったら、あとで一緒に遊んでやるから」 「うん!」
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!