MENU1:砂糖を憎む姉、砂糖を夢見る妹。

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すると、そんな時ふと公園の駐車スペースに、見慣れないものが目に入る。 近寄ってみるとそれはキッチンカーで、どうやら食べ物を販売しているらしい。 「こんなとこに、お客さん来るの……?」  独り言をこぼしながら、車から10メートル程度離れたベンチに腰掛ける。 別にお腹がすいていたわけでもなかったけれど、 衣美はこの辺りには珍しいキッチンカーに、ちょっとだけ興味を惹かれていた。  しかし、遠目に見る看板には、メニューは書かれていない。 “タイガーバード”という変な店名と、“営業中”の文字のみだ。 ――変な名前。そもそも何屋なのよ。商売する気あるの?この車。 心の中で、何の罪もないキッチンカーになんとなく八つ当たりをする。 するとその時車の陰から、一人の女性が現れた。
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