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彼女は無表情でまっすぐ衣美の方へ向かうと、隣のベンチに腰掛ける。
少し、年上だろうか。
大人っぽくもあり、幼くもあり、不思議な雰囲気を持つ女性だった。
ただそんなことよりも、衣美は彼女が両手に抱えたあるものを見て、あまりの驚きについ凝視してしまう。
彼女が両手に抱えていたものは、大皿の上に乗せられた、6,7段はあるであろう分厚いパンケーキのタワー。
直径も20センチはありそうだ。
もはやヤケクソとも言える量のホイップクリームが高く高く盛られ、
フルーツやチョコレートやクッキーに至るまでが、センスのかけらもなく上にばらまかれている。
そして、大きなサーバーフォークが親の敵を思わせる乱暴さで、それに突き刺さっていた。
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