MENU1:砂糖を憎む姉、砂糖を夢見る妹。

15/43
前へ
/168ページ
次へ
何、この人。 あっけに取られる衣美を他所に、彼女はサーバーフォークを抜き取る。 そしてその巨大なパンケーキに、改めて突き刺した。 とんでもない量がフォークに刺さったけれど、 彼女は一切躊躇なくそれを口に押し込む。 そして飲み込みもしないうちに、またパンケーキにフォークを刺した。 夢でも見ているような光景だった。 彼女は特に表情を変えぬまま一定のペースでパンケーキを口に放り込み、 ものの5分で皿の上を空にすると、満足気に大きな溜息を吐く。 改めて彼女を観察するも、細く、華奢で、到底あんな量が食べられるような見た目ではない。 痩せの大食いとはよく言ったものだが、 明らかに度を越えていた。 そして、そんな時。 「虎太郎さん、次!」  また、イメージと随分違う大声で、彼女は誰かの名を叫んだ。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

113人が本棚に入れています
本棚に追加